三井物産発の貴金属連動コイン「ZPG」がマルチチェーン展開へ―OP Mainnet採用でDeFiと接続

ByTaTsu@innovaTopia

2026年4月20日 ,
三井物産発の貴金属連動コイン「ZPG」がマルチチェーン展開へ――OP Mainnet採用でDeFiと接続

Last Updated on 2026年4月20日 by Co-Founder/ Researcher

三井物産デジタルコモディティーズ株式会社(東京都千代田区、代表取締役社長:見市礁)は、貴金属価格に連動することを目指す暗号資産「ジパングコイン(ZPG)」シリーズのパブリック型ブロックチェーンへの展開を2026年4月20日より開始した。

発行プラットフォームにはFireblocks(ニューヨーク、CEO:マイケル・シャウロフ)を採用し、基盤ブロックチェーンにはOP Labs(ニューヨーク、CEO:ジンラン・ワン)が開発するEthereumのLayer 2である「OP Mainnet」を選定した。GMOコイン株式会社(東京都渋谷区、代表取締役社長:石村富隆)において同日より一般利用者向けの取引が開始された。

OP Mainnetは現在、CoinbaseのBase、SonyのSoneium、KrakenのInkをはじめ50以上のチェーンがOP Stack上で稼働している。

Fireblocksは世界2,400社以上の金融機関・企業にサービスを提供する実績を持つ。今後はSolanaブロックチェーンへの展開も予定しており、プライベート型とパブリック型の双方によるマルチチェーン展開を推進する。

From:三井物産デジタルコモディティーズ、ジパングコインのマルチチェーン展開を開始

三井物産デジタルコモディティーズ株式会社PRTIMESより引用

【編集部解説】

今回の発表は、単なる新機能の追加ではありません。日本の大手総合商社・三井物産の子会社が発行する暗号資産が、クローズドなプライベートチェーンから誰でも参加できるパブリックチェーンへと踏み出した、構造的な転換点です。

「RWA(現実資産のトークン化)」とは何か?

ジパングコインは、金・銀・プラチナという現物資産の価格に連動することを目指す暗号資産です。このように現実世界の資産をブロックチェーン上のトークンとして扱う仕組みを「RWA(Real World Assets)トークン化」と呼びます。従来の金投資では証券口座や現物保管が必要でしたが、RWAトークンとなることで、スマートフォン1台で少額から貴金属へのエクスポージャーを持てる可能性が開かれます。

なぜOP Mainnetが選ばれたのか?

OP MainnetはEthereumのLayer 2として、2025年だけで60億件のトランザクションを処理し、2年間で29倍の成長を遂げたブロックチェーン基盤です。Coinbase、Sony、Krakenといった大企業がすでに本番稼働させており、ZPGはこのネットワーク上で日本の発行体がローンチした初の暗号資産となりました。規制対応と高スループットを両立できる点が、金融商品としての適格性を重視するMDCの選定理由と考えられます。

Fireblocksが担う役割の重さ

発行プラットフォームに採用されたFireblocksは、世界2,400社以上の金融機関にサービスを提供する機関投資家向けインフラです。日本ではSMBCとのステーブルコイン実証実験や、みんなの銀行との連携事例も報告されており、国内金融機関との親和性が高いことも今回の採用背景として読み取れます。トークンのセキュリティ管理や規制対応の柔軟性において、機関投資家グレードの信頼性を担保する役割を果たします。

Solana展開が示す次のフェーズ

OP Mainnetに続くSolanaへの展開予定は、単なるチェーン追加ではなく、流動性と速度を重視した「Internet Capital Markets」への参入を意味します。VisaやJPMorganもSolana上での実証を進めており、機関投資家の実利用が広がるエコシステムへジパングコインが加わることで、グローバルなDeFi市場との接続が視野に入ります。

ポジティブな側面と潜在的なリスク

投資家にとっては、貴金属へのアクセス手段が多様化し、DeFiプロトコルとの組み合わせで新たな運用手段が生まれる可能性があります。一方でパブリックチェーンへの移行は、スマートコントラクトの脆弱性やオンチェーンの透明性に伴うプライバシーリスクも内包します。また「貴金属価格に連動することを目指す」という表現が示す通り、完全な価格連動は保証されておらず、乖離リスクは依然として存在する点に留意が必要です。

日本の規制環境と今後への影響

OP LabsのCBOであるカイル・ジェンキが「日本は規制環境の明確さにおいて最も注目すべき市場のひとつ」と評したように、日本の暗号資産規制の整備が海外プレイヤーを引き寄せる競争優位になりつつあります。三井物産という日本を代表するFortune Global 500企業(時価総額940億ドル超)がRWAトークン化に本格参入したことは、国内金融機関や他の総合商社の動向にも影響を与えうる先例となるでしょう。

【用語解説】

RWA(Real World Assets)トークン化
金・不動産・債券など現実世界に存在する資産を、ブロックチェーン上のデジタルトークンとして発行・流通させる仕組み。少額投資や24時間取引が可能になるなど、従来の金融商品にはなかったアクセス性をもたらす。

Layer 2(レイヤー2)
Ethereumなどのメインブロックチェーン(Layer 1)の上に構築された処理補助層。取引処理をLayer 2側で行い、最終的な記録のみをLayer 1に書き込むことで、速度向上と手数料削減を実現する。

マルチチェーン展開
単一のブロックチェーンではなく、複数の異なるブロックチェーン上で同一のトークンやサービスを展開すること。流動性の拡大やユーザー層の多様化が期待できる。

AML(Anti-Money Laundering)対応フレームワーク
マネーロンダリング(資金洗浄)を防止するための規制・手続き・監視システムの総称。暗号資産分野では、取引の追跡やKYC(本人確認)と組み合わせて活用される。

Internet Capital Markets
Solanaが掲げるビジョンで、株式・債券・コモディティなどあらゆる金融資産をオンチェーンで発行・取引できるグローバルな資本市場の構築を指す。

【参考リンク】

三井物産デジタルコモディティーズ株式会社(外部)
三井物産グループのデジタルコモディティ事業会社。貴金属価格に連動する暗号資産「ジパングコイン(ZPG)」シリーズを発行・運営している。

ジパングコイン公式サイト(外部)
三井物産デジタルコモディティーズが発行する金・銀・プラチナ連動型暗号資産の公式サイト。商品概要やホワイトペーパー、取引所情報などを掲載している。

GMOコイン(外部)
GMOインターネットグループが運営する暗号資産取引所。2026年4月20日よりジパングコイン(ZPG)シリーズの取扱いを開始した国内取引所。

Fireblocks(外部)
デジタル資産の発行・管理・カストディに特化した機関投資家向けプラットフォーム。世界2,400社以上の金融機関・企業にサービスを提供している。

OP Labs / Optimism(外部)
EthereumのLayer 2ブロックチェーン「OP Mainnet」を開発・運営する企業。CoinbaseのBase、SonyのSoneiumなど50以上のチェーンがOP Stack上で稼働している。

Solana Foundation(外部)
高速・低コストブロックチェーン「Solana」の普及・開発を支援する非営利組織。VisaやJPMorganによる活用事例など、機関投資家の採用が広がっている。

【参考記事】

Mitsui & Co. Digital Commodities Launches Zipangcoin on OP Mainnet(外部)
OP Labs公式ブログ。ZPGがOP Mainnet上で日本の発行体がローンチした初の暗号資産であること、三井物産の時価総額940億ドル超などの数値を含む一次情報。

Japanese Megabank SMBC Leverages Fireblocks for Stablecoins(外部)
Fireblocksの公式ブログ。SMBCとのステーブルコイン実証実験を報告しており、Fireblocksの日本市場における実績を裏付ける内容。

Solana and Fireblocks Selected by Japan’s Minna Bank(外部)
みんなの銀行がSolanaとFireblocksを選定した事例。日本の金融機関における両プラットフォームの採用拡大を示す内容。

ジパングコインシリーズがパブリックチェーンへ展開(Pacific Meta)(外部)
国内暗号資産メディアによる発表の要約記事。ZPGのマルチチェーン展開の概要とOP Mainnet選定の経緯を日本語で解説している。

Kyle Jenke(OP Labs CBO)LinkedIn投稿(外部)
OP LabsのCBOによる投稿。OP Mainnetの2年間29倍成長・2025年60億件処理など具体的な数値を含む実績情報。

【編集部後記】

金や銀といった貴金属が、スマートフォンから24時間取引できるトークンになる時代が、静かに始まっています。三井物産という日本の大企業がその一歩を踏み出したことで、「ブロックチェーンは自分には関係ない」という距離感が、少しずつ変わっていくかもしれません。

あなたにとって、デジタルで保有する「金」はどんな可能性に映りますか? ぜひ一緒に考えていけたら嬉しいです。

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※本記事は情報提供を目的としており、投資助言ではありません。
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ByTaTsu@innovaTopia

『デジタルの窓口』代表。名前の通り、テクノロジーに関するあらゆる相談の”最初の窓口”になることが私の役割です。未来技術がもたらす「期待」と、情報セキュリティという「不安」の両方に寄り添い、誰もが安心して新しい一歩を踏み出せるような道しるべを発信します。 ブロックチェーンやスペーステクノロジーといったワクワクする未来の話から、サイバー攻撃から身を守る実践的な知識まで、幅広くカバー。ハイブリッド異業種交流会『クロストーク』のファウンダーとしての顔も持つ。未来を語り合う場を創っていきたいです。

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