Solana、Ethereumを抜き開発者シェア23%へ Syndicaレポートが示す勢力図の地殻変動

Solana、Ethereumを抜き開発者シェア23%へ Syndicaレポートが示す勢力図の地殻変動

Last Updated on 2026年5月11日 by Co-Founder/ Researcher

Syndicaのレポートによれば、ブロックチェーンのアクティブ開発者に占めるSolanaのシェアは、2020年の6%から23%へ上昇し、アクティブビルダー数は前年比45%増となった。

Ethereumのシェアは31%へ低下し、2022年以降で初めて35%を下回った。Electric Capitalのデータでは、Ethereumのシェアは2020年の82%から31%へ6年間で51ポイント低下した。プロフェッショナル開発者でのSolanaのシェアは5%から20%へ拡大し、ホビイスト開発者ではSolanaが28%、Ethereumが24%となった。2025年の新規開発者はSolanaが4,100人、Ethereumが3,700人であった。Baseは全体の14%で3位に位置する。Solanaは2026年第1四半期に253億件のトランザクションを処理し、同期間のEthereumの約125倍となった。Solana上のDeFiプロトコルSolsticeのCEO兼共同創業者ベン・ナダレスキ氏のコメントが掲載されている。

From: Solana Overtakes Ethereum in New Developer Signups, Reaches 23% Share

【編集部解説】

レイヤー1ブロックチェーンを巡る競争は、しばしば「価格」や「時価総額」で語られがちですが、本来注目すべきは「どのチェーンに開発者が集まっているか」という点です。なぜなら、開発者の流入は数年後のアプリケーション層の厚みを直接決定づける、最も先行性の高い指標だからです。

今回のSyndicaレポートが示したのは、Ethereumが2020年に握っていた82%という事実上の独占状態が、わずか6年で31%まで縮小したという事実です。51ポイントの低下は、単なるシェア争いというより、開発者人材の地殻変動と捉えるのが自然でしょう。

ただし、この数字は「Ethereumが衰退した」という単純な図式では読み解けません。Ethereumの戦略は2020年以降、メインチェーン上の処理を諸々のレイヤー2(Base、Arbitrum、Optimismなど)に分散させる「ロールアップ中心」のロードマップへ舵を切ってきました。3位に14%で食い込んだBaseが象徴的ですが、Baseは技術的にはEthereumスタック上で動いており、Ethereum経済圏の一部とも見なせます。つまりEthereum圏全体としての開発者シェアは、見かけの数字よりは大きいのです。

それでもなおSolanaの躍進が構造的だと言える理由は、アーキテクチャの哲学差にあります。Ethereumは「分散と専門化」を選び、Solanaは「単一環境への統合(モノリシック)」を選びました。Syndicaがレポートで「integrated-chain thesis(統合チェーン仮説)」と呼んでいるのは、流動性・実行環境・開発者の関心を一つの場に集めたほうが、結果的にユーザー体験と開発生産性が高まるという考え方です。

特に印象的なのは、貢献者の分布です。Ethereumでは上位1%の開発者がコード成果の51%を生み出している一方、Solanaでは同じ上位1%が31%にとどまります。少数のスター開発者に依存していないということは、エコシステムが個人の離脱に対して頑健であることを意味します。週末コミットが17%という数字も、専業の開発者だけでなく副業・趣味層が継続的に積み上げている証左でしょう。

2026年第1四半期に253億件という処理件数(Ethereumの約125倍)は、開発者集中の結果として現れた利用実績の数字です。コストとスピードが実用域に達したからこそ、決済やDeFiのリアルな取引がここに集まり、開発者もそれを追って移動した、という順序で読み解くのが妥当だと考えられます。

機関投資家側の動きも見逃せません。2026年3月24日、Solana FoundationはMastercard、Worldpay、Western Unionを初期ユーザーとする「Solana Developer Platform(SDP)」を発表しました。発行・決済・取引(年内予定)の3モジュールをAPIで提供する構成で、AnthropicのClaude CodeやOpenAIのCodexといったAI開発支援ツールも統合されています。Mastercardはステーブルコイン決済、Worldpayは加盟店決済、Western Unionはクロスボーダー送金という、それぞれの本業領域での実証に踏み込んでいる点が重要です。記事中でナダレスキ氏が「カストディ提供事業者の統合スピードが5年前のEthereumを上回っている」と語った背景には、こうした制度金融側の地殻変動があります。

一方で、潜在的なリスクも冷静に見ておく必要があります。第一に、モノリシック設計はスケールメリットを生む反面、ネットワーク全体障害時の影響範囲が大きく、Solanaは過去に複数回の停止事例を経験しています。第二に、トランザクション件数の多さには、自動化されたMEV(マイナー抽出可能価値)取引やボットによる注文が含まれる点を割り引いて見るべきでしょう。第三に、開発者の「数」は集まっても、決済や本人確認(KYC)、AML(マネーロンダリング対策)、税制といった規制レイヤーは国ごとに整備度合いが異なります。日本においても、ステーブルコイン(電子決済手段)の発行・流通ルールは2023年6月施行の改正資金決済法以降に制度整備が進められてきた段階であり、Solana上の海外ステーブルコイン決済を国内事業者がそのまま採用できるわけではありません。

それでも、技術史的な視座から眺めると、今回のシフトは「ブロックチェーンの実用化フェーズの始まり」を告げる一つの区切りに見えます。投機的トークン取引から、決済・送金・トークン化資産といった現実の金融機能へと、開発者の関心と機関の投資が連動して動き始めているからです。Ethereumが切り拓いた「スマートコントラクトという思想」と、Solanaが体現する「高スループット統合実行環境」は、本来対立するものではなく、用途ごとに棲み分けながら共存していく可能性が高いと考えられます。日本の読者にとっては、いずれか一方に「賭ける」というより、両者がどう役割分担していくかを見極める時期に入った、と捉えるのが現実的でしょう。

【用語解説】

レイヤー1(Layer 1)
ブロックチェーンの基盤となるネットワーク自体を指す。BitcoinやEthereum、Solanaなどが該当する。レイヤー2はその上に構築される拡張ネットワークである。

EVM / 非EVM(non-EVM)
EVMはEthereum Virtual Machineの略で、Ethereum互換のスマートコントラクト実行環境のこと。Base、Arbitrum、OptimismはEVM互換チェーンであり、Solanaは独自仮想マシンを採用する非EVMチェーンに分類される。

ロールアップ(rollup)
レイヤー2で複数の取引をまとめ、結果のみをレイヤー1に書き込むことで処理を高速化・低コスト化する技術である。Ethereumが採用する拡張戦略の中核に位置づけられている。

モノリシックアーキテクチャ(monolithic architecture)
実行・決済・データ可用性を単一のレイヤーに統合する設計思想を指す。Solanaの設計哲学であり、レイヤーを分割するEthereumのモジュラー設計と対比される。

統合チェーン仮説(integrated-chain thesis)
流動性・実行環境・開発者の関心を単一の場に集中させた方が、ユーザー体験と開発効率が高まるという考え方である。Syndicaのレポート内で提示された概念。

DeFi(分散型金融)
Decentralized Financeの略で、銀行などの中央集権的な仲介者を介さず、ブロックチェーン上のスマートコントラクトで貸借・取引・運用などの金融機能を提供する仕組みを指す。

カストディ(custody)
暗号資産を顧客に代わって安全に保管するサービスである。機関投資家がブロックチェーンを利用する際の必須インフラと位置づけられる。

コアプリミティブ(core primitives)
ブロックチェーン上の基本構成要素のこと。トークン発行、貸借、交換などの基礎機能を指し、その上に応用アプリケーションが積み上げられる。

コホート(cohort)
共通の属性を持つ集団のこと。記事中ではプロフェッショナル開発者・ホビイスト開発者・新規参入開発者などのグループを指している。

トランザクション(transaction)
ブロックチェーン上で記録される取引や処理単位のこと。送金、スマートコントラクト実行、トークン発行などが含まれる。

MEV(マイナー抽出可能価値)
Maximal/Miner Extractable Valueの略で、ブロック生成者が取引の並び順を操作することで得られる追加的な利益を指す。トランザクション件数の解釈に影響する要素である。

改正資金決済法(2023年6月施行)
日本国内でステーブルコインを「電子決済手段」と位置づけ、発行・取扱の枠組みを定めた法律である。本記事の規制リスクの記述において参照している。

Electric Capital
暗号資産関連企業へ投資するベンチャーキャピタルである。毎年公開する「Developer Report」が業界標準の開発者統計として広く参照されている。

Solana Foundation
Solanaエコシステムの開発と普及を支援する非営利団体。

【参考リンク】

Syndica公式サイト(外部)
Solana向けRPCインフラとAPIを提供する開発者向けインフラ企業の公式サイト。

Deep Dive: Multichain Developers(Syndica Blog)(外部)
本記事の元レポート。2026年2月28日までのデータをもとに集計されている。

Solana公式サイト(外部)
高速・低コストを特徴とするレイヤー1ブロックチェーンの公式サイト。エコシステム情報を提供する。

Solana Foundation公式サイト(外部)
Solanaエコシステムの拡大を支援する非営利団体の公式サイト。SDPの発表もここで確認できる。

Ethereum公式サイト(外部)
スマートコントラクトプラットフォームの先駆け。日本語ページも整備されており参照可能。

Electric Capital(外部)
暗号資産分野のベンチャーキャピタル。年次のDeveloper Reportが業界標準として広く引用される。

Base公式サイト(外部)
Coinbaseが開発したEthereumレイヤー2ネットワーク。本レポートで開発者シェア14%と紹介された。

Solstice Finance公式サイト(外部)
ベン・ナダレスキ氏がCEOを務めるSolana上のDeFiプロトコル。USXとYieldVaultを提供する。

金融庁(外部)
日本国内のステーブルコイン規制を所管する行政機関。電子決済手段の制度資料を確認できる。

【参考記事】

Solana Just Overtook Ethereum in New Developer Signups — Biggest News Shift for Solana?(Cryptonews)(外部)
Solanaが23%、Ethereumが31%という開発者シェアの数値とナダレスキ氏のコメントを詳細に伝える記事。

Deep Dive: Multichain Developers(Syndica Blog)(外部)
本記事の数値の出所となるSyndicaのレポート一次情報。2026年2月末までのデータをもとに集計。

Solana outpaces Ethereum with 25.3B transactions(AMBCrypto)(外部)
Q1 2026の253億件処理とEthereumの125倍という数値を、ステーブルコイン流通量と関連付けて分析。

Report finds Solana developer share jumps to 23% as Ethereum weakens(TheStreet)(外部)
プロフェッショナル開発者比率や両ネットワークの人材定着率など、補足データを掲載した記事。

Solana Attracts 4,100 New Devs(Solanafloor)(外部)
地理的分布やSolana Seekerエコシステムでの106%増加など、地域・周辺データを補強した記事。

Solana Foundation taps Mastercard, Western Union, Worldpay(CoinDesk)(外部)
2026年3月24日発表のSolana Developer Platform(SDP)の詳細と機関採用の動きを整理した記事。

Solana’s developer share rises as Ethereum’s declines(Crypto Briefing)(外部)
4,100人の新規開発者増加と、それに連動した市場予測動向を扱った記事。数値の独立検証用に参照。

【編集部後記】

ブロックチェーンの世界では、価格や時価総額が話題になりがちですが、今回ご紹介したような「どこに開発者が集まっているか」というデータは、数年後のサービス層の厚みを映す先行指標とも言えます。皆さんが普段触れているアプリやサービスの裏側で、こうした地殻変動が静かに進んでいると考えると、少し見え方が変わってこないでしょうか。

SolanaとEthereum、それぞれのアーキテクチャ哲学のどちらに惹かれるか、もしよろしければ皆さんのお考えも聞かせてください。

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※本記事は情報提供を目的としており、投資助言ではありません。
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ByTaTsu@innovaTopia

『デジタルの窓口』代表。名前の通り、テクノロジーに関するあらゆる相談の”最初の窓口”になることが私の役割です。未来技術がもたらす「期待」と、情報セキュリティという「不安」の両方に寄り添い、誰もが安心して新しい一歩を踏み出せるような道しるべを発信します。 ブロックチェーンやスペーステクノロジーといったワクワクする未来の話から、サイバー攻撃から身を守る実践的な知識まで、幅広くカバー。ハイブリッド異業種交流会『クロストーク』のファウンダーとしての顔も持つ。未来を語り合う場を創っていきたいです。

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